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
KONIの一般車用のショックはツインチューブを基本としている。しかし、巷では「ツインチューブは減衰力の立ち上がりがモノチューブに比べ、やや低い」等のウィークポイントが囁かれている。それはKONIとは無縁の話。ここまで述べてきた独自の機構により、ウィークポイントを克服したうえで、さらにツインチューブならではの利点を見出しているからである。
ツインチューブの利点とは、まずピストンサイズが小さくできること。伸び側を制御するピストンバルブと、縮み側を制御するボトムバルブが一つのケース内で独立しているためだ。ピストンサイズが小さければピストン重量を小さくし、フリクションロスを軽減でき、性能劣化のもととなる熱の発生を抑えることができる。
つぎに、ツインチューブならストロークを充分に確保できるという点。図Eのようにシングルチューブではケースの下部がガス室で、その分のストロークが確保できない。一方ツインチューブでは、上から下までケース内のストロークをフルに使うことができる。従ってショート加工を施してもストローク不足に悩まされずにすみ、常においしいところを使って走れるため、4輪の接地感が非常に良いのである。
さらに大径のピストンロッドが使用可能ということも見逃せない。例えばストラットの場合サスペンションの構造の一部を兼ねるため、できるだけ大径のロッドを使用したいもの。しかしモノチューブではバンプ時にケースに収まるロッド分の容積のオイルの逃げ場がないために、大径ロッドが使えない。反面、ツインチューブはロッド分の容積のオイルを、インナーチューブからアウターチューブへスムーズに移動させることができるため、大径ロッドが使用可能というわけだ。
…などのツインチューブの利点を見事にまとめあげ、「マジック」と称される最高級のショックをつくりあげることに、KONIは成功している。
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